vanilla
こちらはヒナの二次創作ブログです。 取扱は黒バス・黄黒SSとなっております。

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指先

 久し振りなSSです。
 
  
    指先


「――」
 じっと見つめた指先の一筋の傷から、血がぷつりと浮かび上がる。
 じわじわと爪先に浸透し、人差し指が赤に染まる。
 じくりとした痛みは、ボクが受け止める為のものだ。


 ――ズルイのよ!
 …そうですね。その通りだと思います。
 ボクの立ち位置は卑怯だ。だからこの傷は、彼女からの罰かもしれない。


「くーろこっち! 一緒部活行きましょうっス!」
 校舎の昇降口。下駄箱子の間から明るい声がして、すぐにその声の主がひょっこりと顔を覗かせた。
 見つめていた右手を降ろして頷く。
「はい。今、靴を履き替えますから…」
「黒子っち! どうしたんスか、それっ!!」
 少し待っていてください。と続けようとした言葉を彼の大声で遮られる。 
「…なんでもありません」
 見えない様に隠していたつもりが、目敏く彼が僕の手首を掴んで血で汚れた指を持ち上げる。
「なんでもなくないっスよ! こんなに血が出てるじゃないっスか!」
 いっそ黄瀬君の方が顔を蒼褪めさせ、あわあわとズボンのポケットを探る。
「ああくそっ、ハンカチがないっス! そうだ、こっちにタオルが入ってるっス!」
 忙しなく、肩に担いでいるスポーツバッグのジッパーを開く彼の手を留める。
「大丈夫ですから」
 だから放してください、と蜂蜜の目に目で伝えた。


 ――男のくせに、黄瀬君の側に当然のようにいるなんて!
 …大切なチームメイトで。友人で。
お昼だって青峰君達も含めて一緒にするのが普通だし、話だってするのが当然で。部活後に一緒に帰るのも自然な成り行きで。
 だけど彼女からしてみれば、ボクの存在は邪魔意外の何者でもない。
 黄瀬君を好きな人達にとっては。


「大丈夫じゃないっス! 爪ん中まで血が入っちゃってるし、人差し指が血で真っ赤っスよ! いったい、どうしたんスか!? パックリ指先が切れちゃってるっスよ! どっかにぶつけて血が出たっていうより……」
 黄瀬君は大雑把な様でいて、とても細かい部分まで鋭い人だ。
 だから。彼には分かってしまったのだうろ。
「……オレもあったっス。モデルの仕事で一緒した子のファンの奴に変なイチャもん付けられて、そんでファンレターに紛れて封筒にカミソリの刃が潜んでて、中には――…」
「駄目、ですっ!」
 あまり大きな声は得意ではないけれど、今は必要な時だ。
彼を牽制して下駄箱の陰になっていた封筒を手にしようとしたら、素早い動作でその封筒を奪われる。「…っ、ざけんな…!」
彼らしくもなく、封を切り取った部分から覗いていた鋭い刃に眉間にくっきりと皺を寄せる。
「黄瀬君には関係のない手紙です。返して下さい」
「関係ないなら、見てもいいっスよね」
「駄目です。返して下さい…!」
「…黒子っちがそんなに慌てるなんて、やっぱりオレの考え当たってるっスね」
「っ……」
「自分で言うのは自惚れっスけど、これ、俺のファンからっスね」
「違いますからっ。返してください」 
 その刃に気を付けながら封を最後まで破り、中に入っていた一枚の紙を取り出した彼にハッとして掌を上にして差し出す。
 慌てていたからか利き手の右手が出てしまい、ポタリと手の甲を伝った滴が地面に落ちる。
(あ…) 
その光景に、泣きだしそうに表情を崩したのはボクじゃなくて…彼だった。
辛そうに切れ長の眦を細めた彼はチラリと確かめた手紙をぐしゃりと片手で握りつぶし、鞄に捻じ込む。
「……やっぱり、関係、ありまくりじゃないッスか」
 途切れ途切れな彼の肩が震えている。
 悔しそうに唇を噛みしめ、握った拳を振るわせる。
「なんスか、これ。オレに近付くな? 何様なんスかね、こいつ。なんで黒子っちにそんな事言うんスかね?」
「……黄瀬君」
「全然分かってないし、俺の何を知ってるって言うんだか。オレを本当に見てれば分かるし、知ってるし、邪魔なんてしねーよ…!」
「黄瀬君…」
「俺が、黒子っちに付きまとってるんだ」
 その強い眼差しに、ああやっはりこの傷は罰なんだと納得する。
「――ボクは大丈夫ですよ」
 汚れていない指で、きつく歪む頬にそっと触れる。
「だから、そんな顔をしないでください。黄瀬君には似合いませんよ、こんな顔は」


 ――近付かないで。側にいないで。
 …すいません。それはお約束できません。
 だって彼は仲間で。友人で。…それから。
 だから、傷は受けます。  


「黄瀬君には、笑顔が一番似合ってますよ」
 本当は違う。
輝かしい太陽の様に笑う彼も彼らしいけれど、悔しそうな表情も、泣きだしそうなこの感情も。
すべてが、彼を彩る色だ。
「……黒子っち…」
 頬を撫でていた手とは別の手を取られる。
「ぇ――」
 止まりかけた血を。その指ごと唇とその舌先でくすぐられるみたいに優しく清められる。
 驚愕に両目を見開いて彼の唇を見つめれば指から拭われた血が付着していて、
「黄瀬君」
 そっと頬から唇に指先を移動させて触れる。
「すいません。血が付いてしまいましたね…」
「この血は俺のせいだし、黒子っちのだからいいんス。むしろ役得っスよ」
 少し落ち着いたのか、穏やかな声音にくすりと笑う。
「役得ってなんですか」
「…俺、黒子っちの指好きなんスよ。白くて、ほっそりしてて、繊やかで、触られるとドキドキするんスよ。だからこんな風にキスできて幸せっス」
 ニカリと歯を見せ笑う彼に視線を合わせる。
「血を吸って、消毒をしくれているんじゃないんですか?」
「え、あ、いや、それもあるっスけど!」
 焦る彼が目を丸くして口籠るのにも小さく笑う。
 くるくると表情が万華鏡のように変わって、変わるたびに僕を惹きつける。
「……うん。ホント、こんな綺麗な指してるのに、傷なんて付けて欲しくないっス」
「いいんです。これは勲章ですから」
「…え?」
「……黄瀬君に触れていられる、勝利の指です」

 
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アニメ1話~5話、トドメに4話エンドカード!で落ちました…。
原作好きでアニメは観るの躊躇してた人間とは思えない堕ちっぷりっスよ…。

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